
今日10月26日は「柿の日」です。
全国果樹研究連合会柿(カキ)部会が2005年(平成17年)に柿の販売促進を目的に制定しました。
日付は、1895年(明治28年)のこの日、俳人・正岡子規(まさおか しき)が奈良旅行に出発し、「柿食へば鐘が鳴るなり法隆寺」の句を詠んだとされることに因んでいます。
また、地域によって違うが柿の旬の中心的な時期にあたることもその理由の一つだそうです。
柿について

柿(かき)は、カキノキ科の一種の落葉樹・カキノキ(柿の木)の果実です。
カキノキは東アジアの固有種で、特に長江流域に自生しています。
幹は家具材として用いられ、葉は茶の代わりとして加工され飲まれることがあります。
そして果実は渋味のもとであるタンニンを多く含み、柿渋は防腐剤として用いられています。

さて、「柿」と聞いて、甘柿と渋柿、どちらを思い浮かべるでしょうか。
今となっては当然のようにお店に並ぶ甘柿ですが、実は鎌倉時代までは「柿」と言えば渋柿のことを指していました。

日本における柿の歴史は古く、縄文時代や弥生時代の遺跡から柿の種の化石が発掘されています。
奈良時代には日本の各所に柿が流通していたとされ、当時は祭祀に使われたり、冬場の大事な糖分補給源として食されていたようです。
しかし当時流通していたのは渋柿で、人々は渋柿を熟柿や干柿にして食していたそうです。
一方、甘柿は鎌倉時代に渋柿の突然変異種として登場しました。
現在では世界中の温暖な地域(渋柿は寒冷地)で果樹として栽培されていますが、日本から1789年にヨーロッパへ、1870年には北アメリカへ伝わったことから学名にも「kaki」の名が使われています。
柿の生産量が多い県は和歌山県、奈良県、福岡県の順で、生産量日本一の市町村は、奈良県五條市です。
「桃栗三年柿八年」と言われ、柿は種をまいて実がなるまで8年程度かかるとも言われています。
そのため「何事も成し遂げるまでには相応の年月が必要だ」という例えにも使われています。
柿の健康効果
まず挙げなければならないのは、ビタミンCの含有量です。
甘柿は可食部100g100gあたり70mgと果物の中ではトップクラスで、1個食べると、ビタミンCの1日の摂取基準量を満たすことができます。
ビタミンCは風邪の予防や免疫力アップ、美肌の育成・維持などに重要な働きをする栄養素です。
また、柿には、クリプトキサンチンやリコピンなどのカロテノイドも含まれていて、これらは老化防止などの効果が期待できるそうです。
さらに柿に含まれているタンニンの一種には、アルコールの有害な作用を抑える作用が期待でき、柿は二日酔いの予防や緩和にも役立つと言われています。
秋が深まり、焼酎のお湯割りや燗酒がおいしいこの季節、「飲む前にまず柿」を習慣化すると、二日酔いを予防できるかもしれません。
そしてタンニンには抗酸化作用もあるので、がんなどの抑制効果も期待できます。
柿については姉妹ブログの「歳時記ブログ」でも触れておりますので、ご参照いただければ幸いです。
正岡子規(まさおか しき)

正岡子規は、、愛媛県生まれの俳人、歌人、国語学研究家で、子規はペンネーム。
本名は正岡 常規(まさおか つねのり)で、幼名を處之助(ところのすけ)といい、後に升(のぼる)と改めました。
現、東大教養学部に入学し、同窓には夏目漱石、南方熊楠、山田美妙らがいます。
俳句、短歌、新体詩、小説、評論、随筆など多方面にわたり創作活動を行い、日本の近代文学に多大な影響を及ぼし、明治を代表する文学者の一人です。
そして、正岡子規によって近代の俳句が確立され、生涯に20万を超える句を詠んだ子規の作品のうち最も有名な句として「柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺」があります。
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