
今日7月11日は「世界人口デー」です。
国連人口基金(UNFPA)が1989年(平成元年)に制定した国際デーの一つです。英語表記は「World Population Day」。
1987年のこの日に、地球の人口が50億人をこえたことから、世界の人口問題への関心を深めてもらう為に制定されました。
ちなみに、この日にユーゴスラビアのザグレブ(現、クロアチアの首都)で生まれた男の子を国連はが50億人目と認定し、デクエヤル事務総長がかけつけて祝福しました。
また、1990年(平成2年)12月の国連総会で正式に国際デーとして制定され、国連人口基金(UNFPA)が各国政府や市民社会と協力して、この日が祝われます。
国連人口基金は、国連内での人口分野における中心的役割を果たす機関です。
1967年(昭和42年)に国連事務局によって設置された「国連人口活動基金」が発展し、1987年(昭和62年)の国連総会で現在の名称に変更されました。
国連によると20世紀に入った頃の世界の人口は約16億5000万人だったため、わずか90年弱で人口が3倍に増えたことになります。
また、アメリカ商務省統計局の調査によると、1999年(平成11年)7月19日には60億人を突破し、毎年約7800万人のペースで増加しています。
そして、2100年には約91億人との予想もあります。
ことし半ばの国別の推計値ではインドが14億2860万人と、中国の14億2570万人を上回って最も多くなり、次いでアメリカが3億4000万人、インドネシアが2億7750万人、パキスタンが2億4050万人となっています。インドの人口は今後も増え続け、2050年にはおよそ16億7000万人に達するとされています。
一方、日本は2010年(平成22年)に1億2806万人となっていますが、既に人口の減少が始まっており、2100年には9000万人を下回るとの予想が立てられています。
世界の人口は2037年ごろには90億人、2058年ごろには100億人に達すると見られますが、増加のペースは鈍っており、2080年代に104億人のピークに達したあとは徐々に減少していくと予測されています。
そして2300年には、世界の人口は約90億人で、しかし日本の人口は1億人の大台を回復するとされています。
世界が抱える3つの人口問題

急激な人口増加の裏には、さまざまな問題が隠されています。
いま我々が直面している人口問題を具体的な例とともに解説しよう。
人類と地球の危機「成長の限界」
「成長の限界」は、1972年に出版された人口増加に関する研究レポートで「1960年代の人口増加率と経済成長率がそのまま継続した場合、100年以内に地球の成長は限界を迎える」という予測結果があり、世界中に衝撃を与えました。
人口増加や過度な経済活動に歯止めが効かないまま推移した場合、食糧不足や資源の枯渇、環境汚染など、ありとあらゆる問題が引き起こされると予想しています。
もしこの予想が現実になれば、人口は減少し、地球も崩壊の一途をたどっていくだろうと。
だからこそ、人口増加にも経済活動にも、適切なブレーキをかける必要があると言っています。
人口の急激な増加「人口爆発」
「人口爆発」とは、急激なスピードで人口増加が進むことを言います。
人口爆発が起きた場合、それに対処するための環境整備が間に合わないことによって、以下のような問題が多角的に発生すると予想されています。
経済格差と貧困層の拡大
人口が増加すると資源の消費が増え、さまざまな生産が追いつかなくなります。
その結果、食糧や水、資源、住宅、雇用などの不足を引き起こし、貧困や経済格差の拡大がもたらされます。
食糧不足
国連世界食糧計画(国連WFP)及び国連食糧農業機関(FAO)の報告によると、世界で飢餓状態にある人は8億2800万人にも及んでいます。
特に新型コロナウィルス感染症のパンデミックで1億5000万人が増加。ロシアのウクライナ侵攻により食料、燃料、肥料価格が急騰したことも影響しています。
人口爆発が起きる裏側では、食糧難に苦しむ人も増えているのが現状です。
環境破壊
環境破壊や資源枯渇が発生します。
エネルギー消費の増加や、不足する食糧を生産するために森林伐採や耕地が拡大することによって、地球温暖化の進行が加速する恐れがあります。
また、枯渇した資源を巡って戦争が起こる可能性も考えられます。
少女や女性の権利「ジェンダー不平等」
世界人口増加の背景には、女性や少女への性暴力や望まない妊娠といった問題も隠されています。
貧困生活の中、自身の生き方を選択できる女性や少女は多くありません。
適切な教育を受けられないまま、過酷な環境に晒され、望まない妊娠と出産を繰り返してしまうケースもあります。
世界人口白書においても、少女や女性が被っているさまざまな被害について警鐘を鳴らしています。
人口問題を解決するためには「ジェンダー問題の解決」も不可欠で、そのためには、より多くの人々が、問題に真正面から向き合う必要があると言えるでしょう。
世界が抱える人口問題に目を向けよう
毎年、何気なく過ごしてしまいがちな世界人口デーですが、世界が抱える人口問題は、決して他人事ではない問題です。
日本の人口は減少傾向にあるものの、世界の人口は今日も増え続けています。
まずは世界の実情に目を向けるところからスタートしながら、ふだんは見えにくい問題をあらためて考えるきっかけにしてみてはいかがでしょうか。
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