6月30日 集団疎開の日

今日は何の日

今日6月30日は「集団疎開の日」です。

1944年(昭和19年)のこの日、東条英機内閣が都市の学童を地方へ学校単位で集団疎開させること(学童疎開促進要綱)が閣議決定されました
アメリカ軍がサイパン島に上陸して、本土への空襲も回避できないと判断したもので、7月17日に学童疎開実施要綱が決まり、即日実施された。縁故による疎開を原則とし、それ以外の場合は保護者の申請に基づき、学校単位で実施された。疎開の対象都市は当初、東京、横浜、川崎、横須賀、大阪、神戸、尼崎、名古屋、門司、小倉、戸畑、若松、八幡の13都市でしが、翌年には京都、舞鶴、広島、呉の4都市が追加指定されました。1945年(昭和20年)の春には全国で約40万人を超える児童が疎開したいわれています。

疎開とは

疎開とは、もともと前進中の軍隊の距離・間隔をひらき、集団行動している兵を散らし、攻撃目標となり難い状況を作りながら作戦行動を行うことという軍事用語でしたが、日本においては第二次世界大戦末期に、攻撃目標となりやすい都市に住む、学童、老人、女性、又は直接攻撃目標となるような産業などを分散させ、田舎に避難させるという政策を指す言葉として一般化しました。
当時の政権が「避難」や「退避」という言葉を正直に使用しなかった理由は、当時の軍部が撤退・退却を誤魔化して「転進」と表現したのと同様、「軍事作戦の1つであり、決して逃げるのではない」と糊塗する(ごまかす、取り繕う)意図があったとされています

学童疎開

日本において第二次世界大戦末期の「学童」とは、国民学校初等科に通っていた児童を意味する。大日本帝国政府は「縁故者への疎開」を奨励したが、学校毎の集団疎開(学校疎開)も多く行われた。
しかし、日本の都市部では自営業者の世帯を中心に労働力の中心となるべき成人男性が戦地に赴いている間、子供は重要な労働力として家計の助けとなっている世帯も多く、疎開させたくても出来ない家庭があった。集団疎開に際しては保護者から疎開免除の嘆願書が提出された例も存在している。
東京都長官大達茂雄は「帝都の学童疎開は将来の国防力の培養でありまして学童の戦闘配置を示すものであります。」と都の国民学校校長会議で1944年発表。「学童疎開衛生注意事項に関する件」で肢体不自由児や、伝染疾患(結核、重症トラホーム)、喘息、てんかん、ひんぱんな夜尿症、性格異常、その他集団生活に適さない者とされた児童は学童疎開から除かれた。国家総動員法で盲学校生徒は兵隊のマッサージ、聾学校生徒は騒音の工場勤務が出来たが、肢体不自由児は兵隊にも銃後にも不要とされた。

対馬丸事件

第二次世界大戦中の1944年8月、疎開船として民間人や児童ら計約1700名を乗せて那覇から長崎へ向かう途中、8月22日にアメリカ海軍の潜水艦「ボーフィン」からの魚雷攻撃を受け沈没し、多くの犠牲者を出しました
最終的に乗員・乗客合わせて1484名が死亡し、このうち対馬丸の乗組員は西沢船長以下24名が対馬丸と運命をともにしました。
一方で、生き残った児童はわずかに59名(60名とも)でした。

1944年(昭和19年)7月、サイパンの戦いが終結し、アメリカ軍は同島からB-29爆撃機を出撃させることが可能となり、無着陸で北海道・東北北部を除く日本のほぼ全土を空襲できるようになりました。これを受けて政府は、沖縄県知事・泉守紀に宛てて『本土決戦に備え、非戦闘員である老人や婦女、児童計10万人を本土または台湾への疎開をさせよ』との命令を通達しました。
一方で、沖縄本島などへ展開させる兵員や軍需物資の輸送も同時に行う事となり、一部を除いて往路は軍事輸送、復路は疎開輸送に任じる事となりました。
対馬丸も、この命令に基づいて兵員輸送と疎開活動に当たっていた輸送船の1隻でした。

子どもたちを戦火から守るために実施した疎開で起きてしまった悲劇。戦争で犠牲になるのは、戦場の兵士だけではありません。どんな戦争でも必ず、「罪のない弱者」や「戦場になった土地の住民たち」が犠牲になります。

実際、沖縄でもこの後、アメリカ軍部隊が上陸作戦を展開し、多くの住民を巻き込んだ凄惨な戦いが繰り広げられました。沖縄戦では「県民の4人に1人が亡くなった」とも言われる取り返しのつかない惨事となりました

この「対馬丸事件」に関するこの記念館は、那覇空港からほど近い「波の上市民ビーチ」の側に静かにたたずみ、2階建ての建物は対馬丸への乗船をイメージさせる構造となっています。
「対馬丸記念館」は「子どもと戦争」に焦点をあてた展示を行っているのが特徴的で、館内では事件の全容を学び、犠牲者の氏名、生存者や遺族の証言、当時の学校教室や船内の復元、犠牲者の遺影・遺品を見ることが出来ます。
また、記念館の建つ那覇市旭ヶ丘公園には、対馬丸犠牲者の慰霊碑「小桜の塔」もあります。

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