今日6月11日は「国立銀行設立の日」です。
1873年(明治6年)のこの日、日本初の銀行、第一国立銀行(後の第一銀行、第一勧業銀行、現在のみずほ銀行)が渋沢栄一により設立され、7月20日 に現在の「みずほ銀行兜町支店」の位置(現在の中央区日本橋兜町4-3)に開業しました。
それを皮切りに5年間に153もの国立銀行が発足しました。
「国立」という名前がついていますが、これはアメリカのNational Bankを直訳したもので、「国法によって立てられた銀行」という意味で、国が設立した銀行ではなく実際には民間の銀行でした。
国立銀行はすべて第○国立銀行のような名前となっていて、ナンバー銀行と呼ばれました。
番号はすべて国が認可した順番です。
また、銀行の称号を使用した最初の私立銀行は、1876年(明治9年)3月31日に設立された旧三井銀行で、同年7月1日に現・三井住友銀行日本橋支店の位置(現在の中央区日本橋室町2-1-1)に開業しました。
江戸時代から明治時代になる頃、日本では通貨の整備が急がれていました。
各藩が独自に発行する通貨に加え、政府が発行する通貨、民間の会社が発行する紙幣などが乱立していたので、政府はこの事態を収拾させるために、国立銀行条例を制定しました。
全国で出回る通貨を統一させる、という政策を打ち出しました。
この政策に基づき、4つの「政府公認のもと紙幣を発行できる銀行」が誕生し、国立銀行と呼ばれるようになります。
国立銀行の1番目は「第一国立銀行」(現:みずほ銀行ですが、2番目は「第二国立銀行」と呼ばれ、現在は横浜銀行になっています。
第三国立銀行は、大阪にできる予定でしたが、銀行設立の話が諸事情でなくなってしまい、3番は欠番になっています。
そして「第四国立銀行」は新潟に誕生し、現在でも北越銀行との合併に伴い、株式会社第四(だいし)北越銀行に改称しして営業を続けています。
その後、1882年(明治15年)に日本銀行が設立され、紙幣の発行を日本銀行が一手に行なうようになると、国立銀行は普通銀行に転換します。
転換する際に、名称を変更した銀行や現在でも当時のナンバーをそのまま銀行名にしている金融機関もあります。
ちなみに、日本銀行は、日本国政府から独立した法人とされ、長期的な公益確保・政治的中立性の観点から自主性・独立性が認められています。
現在、番号を冠した銀行は全国に8行ありますが、その内、当時の“遺産”のごとき数字を受け継ぐのは以下の6行です。
第四北越銀行(新潟県新潟市)
十六銀行(岐阜県岐阜市)
十八銀行(長崎県長崎市)
七十七銀行(宮城県仙台市)
百五銀行(三重県津市)
百十四銀行(香川県高松市)
当時の銀行は、このように番号で呼ばれていたので、質屋のことを「十六銀行」と呼ぶ風習も存在していました。
1+6=7で「しち=質」という訳です。このように、当時は金融機関を番号で呼ぶ風習が全国に浸透していました。
しかし、前述のように正式な第十六国立銀行は、岐阜県岐阜市に本社を置く「株式会社 十六銀行」として番号のみを冠する最古の銀行として経営を続けています。
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